開田高原 原風景への回帰と草花の魅力 2019.6.15
2019年6月15日に「開田高原 原風景への回帰と草花の魅力」と題しまして、講演と生け花パフォーマンスを、翌日には「野の花の観察会と生け花体験」をさせていただきました。
長野県にある開田高原は在来馬である木曽馬のふるさとです。
農耕馬として飼育されていた木曽馬はこの高原で育ち、高原もまた木曽馬によって草地を維持していました。
しかし、近年では農林業の機械化により農耕馬としての仕事がなくなり、木曽馬は激減してしまいます。
馬がいなくなった草地は、人の手が入らなくなり、次第に藪化し森林へと変わってしまいます。
全国的にみても草地は減少傾向にあり、生物多様性の観点から言っても危機的状況です。
一見、人の手が入らないことで自然はより豊かになると思われるかもしれませんが、じつは野焼きや草刈りが重要な役割をしていたのです。
林業の衰退により山が荒れ、土砂崩れが増えてしまうことを考えると、人の手が入ることの重要性がわかるかもしれません。
草地には草地にしか生きられない生物や植物がいるのです。
会場となった長野県の県宝「山下家住宅」元は大馬主の屋敷でした。
馬が無くてはならない存在であったこの地の家では、馬と人が同じ屋根の下で暮らす造りとなっています。
厩は1メートル程掘り下げられており、ここへ刈られた草を入れます。
草は馬の飼料となるとともに、次第に堆肥となります。
厩の反対側は人の居住スペースです。
常に馬の姿が見える様になっています。
今回はこの広間をお借りして講演させて頂きました。
実演では、開田高原にある植物や持参した物も含めて、何作か生けさせて頂きました。
大作で使用した白樺は、早朝に切ってきて頂いたものです。
まだ葉が瑞々しくとてもきれいでした。
山下家住宅へのアクセスは下記の通りです。
是非開田高原へお越しの際はお立ち寄りください。